ここでは、不動産投資(貸家)に係る運営収益と運営費用の計上について説明をしています。
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相続タックス総合事務所では、税理士・不動産鑑定士・行政書士・宅建士・FP1級技能士の代表者が最初から最後まで一気通貫して業務をご提供致します。
目次
1.運営収益
運営収益は、投資用不動産から得られる収入で、次のものが挙げられます。
- 家賃収入
- 一時金の運用益・年譜償還
- その他の収入
- 空室損失
(1) 家賃収入
家賃収入は、賃料と管理費(共益費)から構成され、運営収益の大部分を占めます。
したがって、不動産投資に当たっては、その不動産が属する地域や路線の家賃水準を調べ、現在の家賃がどのぐらいの水準にあるかを調べる必要があります。
仮に投資物件が築浅で、現在の家賃水準が高い場合(下表のA)は、時の経過に伴い家賃は低下していく可能性が高いです。一方、築年数がそれほど古くないのに、現在の家賃水準がやや低い場合(下表のB)は、簡単なリフォーム等をすることで家賃が高まる可能性もあります。
(2) 一時金の運用益・年譜償還
一時金には、礼金、敷金及び更新料があります。一般に供給に対して需要の少ない地域(人気のエリア)では一時金が多くなる傾向にあります。
- 礼金
礼金は、賃料の前払い的性格を有する一時金とされ、想定される賃貸借期間に配分をして計算をします。具体的には、礼金の額に年譜償還率を乗じて計算をします。 - 敷金
敷金は、預り金的性格を有する一時金とされ、保有期間中の運用益を計上します。
定期預金であれば年利1%前後、Jリートや投資信託であれば、年利4~10%程度の運用益が期待できます。 - 更新料
関西ではあまり多くありませんが、関東の都心部では新規家賃の0.5~1.0月分の更新料の支払いの慣行があります。
(3) その他の収入
その他の収入には、水道光熱費収入、インターネット利用料などがあります。
(4) 空室損失
空室損失は、上記(1)から(3)の年間収入のうち、空室発生により得られないであろう収入相当額を損失として計上します。
具体的には、上記(1)から(3)の年間収入に対して、その地域の平均的な空室率を乗じて計算をします。フリーレントなどがある場合には、フリーレントを空室扱いにして計算をします。
2.運営費用
投資用不動産を保有すると
費用項目 | 費用発生 | 費用に占める割合 | 目安 |
---|---|---|---|
維持費(BM) | 準固定 | 小さい | 150円/㎡~300円/㎡ |
水道光熱費 | 準固定 | 小さい | 150円/㎡~300円/㎡ |
管理費(PM) | 固定・連動 | かなり大きい | 賃料×3.3%~5.5% |
修繕費 | 一時的 | 大きい | 新築価格×0.4% |
広告宣伝費 | 一時的 | 大きい | 家賃の1~3ヶ月 |
租税公課 | 固定 | 普通 | 課税標準×1.7% |
保険料 | 固定 | 小さい | 新築価格×0.1% |
(1) 維持費
維持費は、投資用不動産の維持に必要となる費用で、主に、清掃費用や共用部の電球の交換費用などが挙げられます。
(2) 水道光熱費
水道光熱費は、主に共用部分の水道代とガス代が該当します。
(3) 管理費
管理費は、家賃収入の回収や専有部分の故障対応、借主対応などを外部に外注する場合の費用となります。
また、マンション投資の場合は、この他に、マンションの管理組合に支払う管理費と修繕積立金があります。マンション投資の利益率が低い原因はこの管理費と修繕積立金にあります。築浅の物件は、新築物件の早期売却等を目的として管理費や修繕積立金が低く設定されていることが多いため、築後10~15年ほどすると、管理費と修繕積立金が大きく値上がりする傾向にあります。
(4) 修繕費
修繕費は、専有部分に係る修繕費と共用部分に係る修繕費に分かれます。
専有部分に係る修繕費は、主に原状回復工事に係る費用です。水回り設備を交換したり、間取りを変えたりといった大掛かりな工事は、資本的支出で考慮します。
なお、マンション投資の場合は、基本的には専有部分に係る修繕費のみの支払となりますが、アパート投資の場合は、専有部分と共用部分の修繕費の支払が必要となります。
(5) 広告宣伝費
広告宣伝費は、賃借人の募集に当たり必要となる経費です。
宅建業法的には家賃の1ヶ月分の支払いで足りることとなっていますが、地域の慣行や投資物件の競争力によっては、家賃の1~2ヶ月分を広告費の名目で追加で支払う必要もあります。
(6) 租税公課
租税公課は、主に保有期間中の固定資産税と都市計画税となります。
(7) 保険料
保険料は、家主が負担をする損害賠償責任保険があります。
(8) その他
その他の費用には、地代やネット回線利用料、自治会費などがあります。