相続タックス総合事務所は、不動産オーナー様に特化した税理士・不動産鑑定士・行政書士事務所・不動産販売の総合事務所です。
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目次
1.農地の分類
相続税の土地評価において、①農地法、②都市計画法、③農業振興地域の整備に関する法律(農振法)に基づき、次の4つの農地に分類します。
なお、農地の分類の前に必ず「農地の地目判定」を行うことに留意します。
分類 | 農地法・都市計画法・農振法等による分類 |
---|---|
純農地 | ・農用地区域内にある農地(農振法) ・甲種農地 ・第1種農地※1 |
中間農地 | ・第2種農地※2 |
市街地周辺農地 | ・第3種農地※3 |
市街地農地※4 | ・農地法第4条又は第5条による転用許可を受けた農地 ・市街化区域内にある農地(都市計画法) |
- 近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第2種農地又は第3種農地に準ずる農地と認められるものを除きます。
- 近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第2種農地に準ずる農地と認められるものを含みます。
- 近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第3種農地に準ずる農地と認められるものを含みます。
- 農地法等の一部を改正する法律附則第2条第5項の規定により、なお従前の例によるものとされる改正前の農地法第7条第1項第4号の規定により、転用許可を要しない農地として、都道府県知事の指定を受けたものを含みます。
3.農地転用の許可の有無の調査
評価対象地が農地法の第4条又は第5条の転用許可を受けているか否かを確認します。4条許可は転用許可、5条許可は権利移動を伴う転用許可です。
- 転用許可を受けている → 「市街地農地」として評価をします。
- 転用許可を受けていない → 次の判定に進みます。
農地の転用許可の確認
農地の転用許可の確認は次の方法により行います。
- 農地転用許可証の確認
農地の転用許可の申請を行い、許可が下りると、都道府県知事等から「農地転用許可証」が交付されますので、相続人等に書類を探してもらい、送付してもらいます。 - 書類が見当たらない(紛失した)場合
紛失してしまったような場合には、農業委員会に問い合わせをして確認します。
4.農用地区域内にある農地であるかの調査
評価対象地が農振法(農業振興地域の整備に関する法律)に規定する農用地区域内に存する農地か否かを確認します。
農用地区域内に存する農地は、原則として宅地への転用が認められないため「純農地」として評価します。
- 農用地区域内に存する → 「純農地」として評価をします。
- 農用地区域内に存しない → 次の判定に進みます。
- 農用地区域に該当するか否かは、適用する評価倍率の判断に当たっても必要となります。
農用地区域内の確認
農用地区域内か否かの確認は、その農地が所属する市区町村役場等で確認することができます。例えば次の調査方法があります。
- 市役所等のWebページ等の閲覧
設定された農用地区域の範囲を字、町丁目単位で確認をすることができます。 - 市役所の担当部署(農政企画課等)への照会・問い合わせ
農用地に該当するか否かを確実に判断することができます。
5.都市計画区域(市街化区域)の調査
評価対象地が市街化区域に存するか否かを確認します。
市街化区域内に存する農地は、農地の転用が「届出制」となっているため、確実に宅地への転用が可能です。そのため、宅地並み評価をするために「市街地農地」として分類します。
- 市街化区域内に存する → 「市街地農地」として評価をします。
- 農用地区域内に存しない → 次の判定に進みます。
都市計画区域 | 区域区分 | 市街地 農地 | 市街地 周辺農地 | 中間 農地 | 純農地 |
---|---|---|---|---|---|
都市計画区域 | 市街化区域 | 〇 | – | – | – |
市街化調整区域 | – | 〇 | 〇 | △ | |
非線引き区域 | – | 〇 | 〇 | △ | |
準都市計画区域 | – | – | △ | 〇 | △ |
上記以外 | – | – | △ | 〇 | 〇 |
都市計画区域の確認
都市計画区域は市区町村の役所・役場で確認をします。最近はWebで確認できるところが多いです。
6.農地法による分類
宅地転用許可がなく、農用地区域内にも存せず、かつ、市街化区域にも存しない農地については、その農地が農地法による種類に応じて「純農地」「中間農地」「市街地周辺農地」へ分類します。
(1) 甲種農地
甲種農地とは、農地法第4条第6項第1号ロの農地のうち、市街化調整区域内にある農地法施行令第6条に規定する農地をいいます。
具体的には、第1種農地の要件に該当する農地のうち市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えている農地として次に掲げる要件に該当する農地をいいます。
- おおむね10ヘクタール以上の規模の一団の農地の区域内にある農地のうち、その区画の面積、形状、傾斜及び土性が高性能農業機械による営農に適するものと認められるもの。
- 特定土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地のうち、当該事業の工事が完了した年度の翌年度の初日から起算して8年を経過したもの以外のもの。
(2) 第1種農地
第1種農地とは、農地法第4条第6項第1号ロの農地のうち、甲種農地以外の農地をいいます。
具体的には、甲種農地に該当せず、かつ、農用地区域内にある農地以外の農地で、良好な営農条件を備えている農地として次の要件に該当する農地をいいます。
- おおむね10ヘクタール以上の規模の一団の農地の区域内にあるもの。
- 特定土地改良事業等の施行に係る区域内にあるもの。
(3) 第2種農地
第2種農地とは、農地法第4条第6項第1号イ及びロの農地(同号ロ(1)の農地を含む。)以外の農地をいいます。
具体的には、農用地区域内にある農地以外の農地のうち、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地で、次に掲げる区域内にある農地をいいます。
- 道路、下水道その他の公共施設又は鉄道の駅その他の公益的施設の整備の状況が一定程度に達している区域
- 宅地化の状況が一定程度に達している区域
(4) 第3種農地
第3種農地とは、農地法第4条第6項第1号ロ(1)の農地(農用地区域内にある農地を除く。)をいいます。
具体的には、市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内に存する農地をいいます。
7.簡便的な農地の分類方法
実務上は、評価倍率表を見て逆説的に農地の分類を確定する簡便的な方法がとられます。例えば、令和2年分、長野県、東御市、県にある農地についての分類を考えます。
この場合、農地の所在地が分かれば次のように農地の分類を確定することができます。
- 都市計画区域内で、用途地域が指定されている地域内にある農地
→市街地周辺農地 - それ以外で農用地区域内にある農地
→純農地 - 上記以外の農地
→中間農地
上記の通り、農地の所在地と評価倍率表を利用することで、ほとんどの場合、その分類を確定することができ、実務上はこの簡便的な方法により分類をすることが多いと思います。
相続タックス総合事務所の代表は、大手資産税税理士事務所と大手不動産鑑定会社の両方で、計15年の経験を積んだ、この業界でも珍しい税務と鑑定評価の両方の実務経験がある税理士・不動産鑑定士です。
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