不動産所得のある方

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不動産所得とは?

不動産所得とは、不動産等※1の貸付け※2による所得※3をいいます(所得税法第26条)

  • 不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機
  • 地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含みます。
  • 事業所得又は譲渡所得に該当するものを除きます。

不動産所得がある方は、原則として確定申告が必要です。

不動産所得と青色申告

不動産所得がある方は「青色申告承認申請書」を税務署に提出することで、青色申告による各種の特典を受けることができます。

(1) 青色申告承認申請の提出期限

  1. 新たに不動産等の貸付けを開始した場合
    貸付をした日がその年の1月15日までの場合・・・その年の3月15日まで
    貸付をした日がその年の1月16日以降の場合・・・その貸付け等の日から2ヶ月以内
  2. 白色申告から青色申告に変更する場合
    その年の3月15日まで
  3. 相続により被相続人の不動産の貸付けを承継した場合
    イ)承継相続人が既に不動産の貸付け等をしていた場合
     その年の3月15日まで
    ロ)承継相続人が不動産の貸付け等をしていなかった場合
     ㋑被相続人が青色申告をしていた場合
      ・相続の開始を知った日がその年の8月31日までの場合・・・相続の開始を知った日から4ヶ月以内
      ・相続の開始を知った日がその年の9月1日以降・10月31日までの場合・・・その年の12月31日
      ・相続の開始を知った日がその年の11月1日以降の場合・・・翌年の2月15日
     ㋺被相続人が白色申告をしていた場合
      ・相続の開始を知った日がその年の1月15日までの場合・・・事業を承継した年の3月15日まで
      ・相続の開始を知った日がその年の1月16日以降の場合・・・事業を承継した日から2ヶ月以内

(2) 青色申告者の特典

青色申告者は白色申告者と比べて次のような所得税計算上の特典があります。

項目白色申告青色申告
青色申告特別控除額10万円・65万円
事業専従者給与50万円/人・86万円/配偶者労務の対価として適正な額
純損失の繰越控除
純損失の繰り戻し還付
少額減価償却資産の特例
貸倒引当金個別評価個別評価・一括評価
推計課税による更正・決定有り無し
現金主義
不動産所得とはならない収入の例

不動産所得と事業的規模

不動産等の貸付けが「事業的規模」である場合には、不動産所得の計算における下記の取り扱いが異なります。

内容事業的規模の場合事業的規模以外の場合
青色申告特別控除額65万円10万円
事業専従者給与労務の対価として適正な額
資産損失の繰越し赤字の繰越しが可能赤字の繰越しが不可
収益の計上基準発生主義的に計上が可能実現主義的に計上
貸倒損失貸倒れ発生時に必要経費過年度の収益の修正
利子税必要経費
小規模企業共済加入資格有り加入資格無し
不動産所得とはならない収入の例

なお、不動産所得が事業的規模に該当する場合には、所得税のほか「事業税」が課税されます。

不動産所得と事業的規模

不動産等の貸付けを事業的規模で行ったとしても、その不動産等の貸付けによる収入は事業所得とはならず、不動産所得として取り扱いますので注意してください。

不動産所得の事業的規模の判定基準

不動産所得を生ずる不動産等の貸付けが「事業的規模」に該当するか否かの判断は、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で不動産等の貸付けが行われているか否かにより判定することが原則的な取り扱いとなっています。

しかしながら、実務上は、次の「形式基準」により事業的規模の判定を行い、その上で、その判断が社会通念に照らして妥当性を欠く場合に「実質基準」により判定を行うことでこれを補完しています。

形式基準

形式基準は、いわゆる「5棟10室基準」と呼ばれるものです。端的に言えば、次の算式が成立する場合には、その不動産の貸付け等は事業的規模に該当するものとして取り扱います。

5A + 10B + C + D ≧ 50

  • 貸室数(貸間・区画)
  • 家屋数(棟)
  • 貸地の数(区画・件)
  • 駐車場台数(台)

実質基準

実質基準とは、その不動産等の貸付けについて次の点を総合的に勘案の上、社会通念に照らして、事業と称するに至る程度か否かを判断する基準です。

  1. 営利性・有償性
  2. 反復・継続性
  3. 自己の危険と計算における事業遂行性
  4. 精神的・肉体的に労力の程度
  5. 人的・物的設備の有無 等

不動産所得の計算方法

不動産所得の金額総収入金額必要経費青色申告特別控除額

(1) 総収入金額

不動産の貸付け等のうち、土地や建物に係る収入で不動産所得となるものには次のものがあります。

貸出しの対象不動産所得となる収入
土地・建物① 地代・家賃※1・2
② 共益費・水道光熱費収入
③ 更新料
④ 保証金・敷金の償却
土地① 時価の1/2未満の権利金収入
② 名義書換料
③ 増改築承諾料
④ 建替え承諾料
家屋① 権利金・礼金
② 壁面や屋上の看板使用料
③ 実費弁償金(建具などの破損弁償代)
駐車場・駐輪場① 駐車場使用料※3
② 駐輪場使用料※3
不動産所得となるものと必要書類
  • 事業者がその従業員に対してアパート等を利用させることにより受け取る使用料は事業所得になります。
  • まかないつきの下宿の収入やホテル・民泊等による収入は事業所得又は雑所得となります。
  • 自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得となります。

(2) 必要経費

不動産所得の必要経費には次のものがあります。

科目名必要経費になるもの
租税公課▢ 不動産取得税・登録免許税
▢ 固定資産税・都市計画税(準確定の場合は納税通知書の到達日に注意)
▢ 印紙税
▢ 消費税
▢ 事業税(事業的規模の場合)
▢ 利子税(事業的規模の場合)
管理費▢ 管理会社へ支払う維持管理費(BMフィー・PMフィー)
▢ 修繕積立金
水道光熱費▢ 水道代
▢ 電気代
▢ ガス代
旅費交通費▢ 電車代・バス代
▢ ガソリン代・駐車場代
▢ 高速料金
▢ 車検費用・自動車税
▢ 自動車保険料
通信費▢ 郵便代・郵券代
▢ インターネット利用料
▢ 電話代
広告宣伝費▢ 入居者の募集のための広告宣伝費
接待交際費▢ 入居者への贈呈品などの費用
▢ 取引先(管理会社等)や税理士等との会食費や贈答費用
損害保険料▢ 建物や構築物に係る火災保険料・地震保険料
修繕費▢ 建物や構築物などの修繕費
消耗品費▢ 事務用品費
▢ 10万円未満の備品
▢ その他の雑貨
減価償却費▢ 建物や構築物の減価償却費
給料賃金▢ 不動産賃貸管理につき従業員を使用している場合
▢ 事業専従者給与
支払利息▢ 借入金の利子
地代家賃▢ 店舗や事務所の家賃(転貸借している場合)
▢ 地代(土地を借りている場合)
支払手数料▢ 税理士・弁護士等への報酬
▢ 不動産仲介手数料
貸倒金▢ 未就家賃の貸倒れ
新聞図書費▢ 不動産経営に関する新聞代
▢ 不動産経営に関する書籍
雑費▢ 上記の経費に該当しない少額で低頻度のもの
▢ 不動産経営に関するWebサービス等の利用料

上記の通り、不動産所得に係る必要経費にはたくさんの費用があります。

しかしながら、不動産所得の必要経費と認められる費用は、そのうち不動産等の賃貸収入を得るために直接要した費用に限られます。特に、家事上の費用と業務上の費用とが一緒になった家事関連費の取り扱いについては、十分に注意する必要があります。

必要書類

不動産所得のある方の必要書類は、次の区分に応じて必要となる書類が異なります。

  1. ご自分で勘定元帳や帳簿を作成されている方
  2. そうでない方

ただし、次の資料(昨年のもの)の控えは全ての方が必要となります。

  • 確定申告書
    • 確定申告書(第一表)・・・全ての方
    • 確定申告書(第二表)・・・全ての方
    • 確定申告書(第三表)・・・分離課税所得のある方
    • 確定申告書(第四表)・・・損失のあった方
    • 確定申告書(第五表)・・・修正申告をされた方
  • 収支内訳書
  • 青色申告決算書(青色申告をされた方のみ)
  • 添付書類

(1) 勘定元帳・各種帳簿を作成している方

下記2つをご準備の上、弊所へご送付願います。

  1. 過年度の確定申告書書類一式(上記参照)
  2. 勘定元帳や各種帳簿に係るCSVデータ

(2) 仕訳帳、決算書を作成していない方

① 総収入金額に関する資料

科目名必要資料
地代
家賃・共益費
駐車場収入
看板収入
▢ 支払調書
▢ 収入明細
▢ レントロール
▢ 賃貸借契約書
総収入金額に関する資料

② 必要経費に関する資料

科目名必要資料
租税公課▢ 納税通知書・納付書
管理費▢ 通帳の写し・領収書
水道光熱費▢ 通帳の写し・領収書・クレジット利用明細書
旅費交通費▢ 領収書・クレジット利用明細書
▢ 交通機関の利用履歴のメモ(日付・行先・用件)
通信費▢ 通帳の写し・領収書・クレジット利用明細書
広告宣伝費▢ 通帳の写し・領収書
接待交際費▢ 領収書
▢ 接待の日時・相手方の氏名・用件のメモ
損害保険料▢ 支払証明書
▢ 通帳の写し・領収書
修繕費▢ 通帳の写し・領収書
消耗品費▢ 領収書・クレジット明細書
減価償却費▢ 初年度:契約書・請負書・請求書など
▢ 2年目以降:昨年の確定申告書
給料賃金▢ 源泉徴収簿など
支払利息▢ 支払利息証明書
▢ 通帳の写し・領収書
▢ 金銭消費貸借契約書
地代家賃▢ 賃貸借契約書
▢ 通帳の写し・領収書
支払手数料▢ 通帳の写し・領収書
貸倒金▢ 貸倒れの事実を証する書類
雑費▢ 通帳の写し・領収書
必要経費に関する資料

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