資産管理会社(不動産会社)の設立手順

2021年7月5日
阿部 博行

阿部 博行

税理士・不動産鑑定士・行政書士・FP1級技能士・応用情報技術者

不動産オーナーに特化した資産税のスペシャリストです。大手不動産鑑定士事務所と大手資産税税理士事務所において約15年の経験を有する私が最初から最後までしっかりとご対応させて頂きます。

資産管理会社(不動産会社)の設立手順

不動産会社の設立に当たっては、設立する会社の種類に応じた法人形態(株式会社と合同会社)を選択し、相続人の関係性や事業規模、将来の運営形態等を検討の上、定款作成・認証及び会社設立登記と順を追って進みます。

近年はWeb上で簡単に定款を作成することができ、非常に便利になってきていますが、他方で、相続や事業承継を踏まえて不動産会社(資産管理会社)を設立する場合は、相続対策のほか相続税対策や所得税対策等も念頭に原始定款を作成していく必要があり、専門性が必要となります。

ここでは、不動産会社設立に当たり、基本的な事項として①会社の運営形態と②会社設立手順について簡単に説明をします。

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1.株式会社と合同会社の選択

株式会社と合同会社
株式会社と合同会社

不動産オーナーが不動産法人化を検討する場合、まず、会社の法人形態として「株式会社」とするか、「合同会社」とするかを選択します。

(1) 株式会社と合同会社との比較

株式会社と合同会社とを比較した場合の両者の相違点としては次の表の通りです。

比較する内容株式会社合同会社
特徴資本と経営の分離資本と経営の一致
機関設計株主総会と取締役の設置が必須制約なし
資本規制ありなし
役員の任期最長10年制限なし
意思決定機関株主総会出資者(社員)
業務執行機関取締役・取締役会出資者(社員)
決算公告必要不要
会社法による制約多い少ない
損益の分配出資額に比例定款で自由に決定
設立費用20万円6万円
ランニングコストやや高い普通
認知度高い低い(高くなってきている)
向いている不動産会社不動産所有会社不動産管理会社・サブリース会社
株式会社と合同会社との比較

(2) 株式会社と合同会社の選択

不動産会社の設立に当たっては、株式会社を選択するか、あるいは合同会社を選択するかは、発起人の自由ですが、特段のこだわりが無ければ、弊所では次の通り会社形態を選択することを推奨しています。

  1. 不動産管理会社・サブリース会社
    → 合同会社
  2. 不動産所有会社
    → 株式会社

① 不動産管理会社・サブリース会社

不動産管理会社とサブリース会社については、基本的に会社規模の小さい会社を想定しています。したがって、このような場合、次の点を主な理由として「合同会社」による設立を推奨しています。

  • 合同会社の方が株式会社よりも設立費用とランニングコストが安いため
  • 不動産管理会社やサブリース会社に社会的認知度は必要無いため
  • 合同会社の方が意思決定が容易であり、業務効率性も高いため

② 不動産所有会社

不動産所有会社については、資産規模が大きい会社を想定しています。したがって、このような場合、次の点を考慮して「株式会社」による設立を推奨しています。

  • 売上規模が大きくなる不動産所有会社の場合、資本と経営が分離している方がメリットがあるため
  • 知名度のある株式会社の方が、銀行からの借り入れ手続きがスムーズとなるため
  • 株式会社の方が退職金制度の設計に幅があり、相続・事業承継の仕組み作りも柔軟にできるため
  • 将来的な追加出資の可能性も担保しておく必要もあるため
  • 株式譲渡という選択肢を用意しておくメリットもあるため
  • 多数決の原理によった方が会社運営が容易となる場合も多いため

(3) 株式会社の合同会社化、合同会社の株式会社化

株式会社と合同会社は、定款で各種の条項を設けることで概ね似たような機関設計とすることも可能です。

株式会社の合同会社化と合同会社の株式会社化
株式会社の合同会社化と合同会社の株式会社化

しかしながら、定款により株式会社を合同会社化したり、あるいはその逆のことをすると、後々の後継者にとって分かりにくく、不測の事態も起こりかねないため、弊所の基本方針としては、株式会社は株式会社の特性を残すように、合同会社は合同会社の特性を残すように定款設計をすることを推奨しています。

2.不動産会社の設立手順

不動産会社の設立は次の手順に従い行います。

1

基本情報の収集と必要資料の準備(1~2週間)

法人設立に当たり必要となる基本的な事項(社名など)を決定したり、必要となる資料を準備します。

基本的事項の決定(社名、本社所在地、発起人、目的、発行株式数、資本金など)
基本的事項の決定(社名、本社所在地、発起人、目的、発行株式数、資本金など)
2

現物出資に係る評価・書類の作成(1~2ヶ月)

法人設立に当たり不動産を現物出資する場合は、①不動産鑑定評価と②各種の資料の作成(証明書、財産引継書、資本金の額に計上する証明書など)が必要となります。

3

定款案の作成・認証(1週間前後)

基本的事項を決定し、必要書類が整えば、これらを基に「定款」を作成し、公証人役場で定款の認証を受けることになります。

定款認証
定款認証
4

出資金の払い込み

出資金の払い込みを行います。

5

法人設立登記(2週間前後)

法人設立登記を行います。

不動産を現物出資した法人設立の場合は、不動産の所有権移転登記手続きも必要となります。

6

各種届出(1週間前後)

税務署、都道府県税事務所、年金事務所等に対して各種の届出を行います。

3.定款に記載する内容

定款に記載すべき事項には、次の3つの記載事項があります。

  1. 絶対的記載事項(会社法27条)
    法律上必ず記載しないと定款が無効となるもの
  2. 相対的記載事項
    定款に記載しないと効力が生じないもの
  3. 任意的記載事項
    記載するかしないか当事者に任されているもの

(1) 絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、必ず定款に記載しなければならない事項のことをいい、次の5つがあります。

No記載事項備考
目的・不動産管理業
・不動産の賃貸借の斡旋業(要宅建免許)
商号必ず「株式会社」あるいは「合同会社」を含めます。
例)○○株式会社、○○合同会社、株式会社○○
本店の所在地大きな行政単位(例:〇〇町)とすることを推奨します。
設立に際して出資される
財産の価額又はその最低額
資本金の額を1,000万円未満とすることで次のメリットがあります。
・法人住民税の均等割が7万円(最低額)となります。
・創業後2年間は消費税の免税事業者となります。
発起人の氏名又は名称及び住所一人であっても、複数であっても問題ありません。
絶対的記載事項

(2) 相対的記載事項

相対的記載事項とは、定款に記載する義務はないものの、定款に記載しなければ効力が生じないものをいいます。

No記載事項備考
変態的記載事項現物出資などがある場合には記載する必要があります。
株式の譲渡制限に関する定め株式の譲渡制限を掛けることができます。(非公開会社化)
取得請求権株式に関する定め会社が株式を取得することができる株式について定めることができます。
取得条項付株式に関する定め一定の事由が生じた場合に会社が株式を取得することができる株式について定めることができます。
取締役等の任期の伸長非公開会社であれば最長10年とすることができます。
取締役会の決議の省略書面又は電磁的記録による同意による可決ができるようにすることができます。
相対的記載事項の例

(3) 任意的記載事項

任意的記載事項とは、定款に記載するか否かは発起人の任意である事項をいいます。

No記載事項備考
事業年度事業年度を定めることができます。各種届出の省略のためにも通常は記載します。
なお、不動産オーナーとの収支突合との関係から、12月末を推奨しています。
株式株主名簿の基準日などについて定めを置くことができます。
株主総会定期株主総会の収集時期や議決権の代理行使について定めを置くことができます。
機関取締役等の員数、代表取締役等の設置、取締役会召集権者などを定めることができます。
公告の方法官報、日刊新聞、電子公告から公示方法を選択することができます。
任意的記載事項の例