余剰容積率の移転がある場合の宅地の評価

2021年9月4日
阿部 博行

阿部 博行

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1.余剰容積率と空中権

余剰容積率の移転
余剰容積率の移転

(1) 余剰容積率と空中権

余剰容積率とは、ある土地の未利用の容積率のことをいいます。例えば指定容積率が・基準容積率が800%の土地で、実際には500%までしか容積率の消化をしていないということであれば、余剰容積率は300%となります。

空中権とは、その余剰容積率を利用することのできる権利をいいます。空中権には経済的価値がありますので、売買の対象となります。

なお、余剰容積率の移転は、特例容積率適用地区においてのみ行うことができます。

(2) 相続税土地評価との関わり

財産評価基本通達の第23項及び第23-2項に余剰容積率に関する規定がありますが、実際には利用する機会はほぼ無いと思います。

なぜなら、特例容積率適用地区に指定されているのは「大手町、丸の内、有楽町地区」だけであり、実際にこの余剰容積の移転が行われたのは、東京駅駅舎から近隣の新丸ビル等に移転した事例だけだからで、これらが相続税の土地評価に関係することはほぼ無いからなのです。

2.余剰容積率を移転している宅地の価額

(1) 余剰容積率を移転をしている宅地

余剰容積率を移転している宅地とは、容積率の制限に満たない延べ面積の建築物が存する宅地(余剰容積率を有する宅地)で、その宅地以外の宅地に容積率の制限を超える延べ面積の建築物を建築することを目的として、区分地上権、地役権、賃借権等の建築物の建築に関する制限が存する宅地をいいます。

(2) 余剰容積率を移転をしている宅地の評価

余剰容積率を移転している宅地の価額は、原則として、路線価方式による評価又は倍率方式による評価により評価したその宅地の価額を基に、設定されている権利の内容、建築物の建築制限の内容等を勘案して評価をします。

  • 次の画地調整を考慮したものになります。
  1. 奥行価格補正
  2. 側方路線影響加算
  3. 二方路線影響加算
  4. 三方又は四方路線影響加算
  5. 不整形地補正
  6. 規模格差補正(地積規模の大きな宅地の評価)
  7. 無道路地補正
  8. 間口狭小補正
  9. がけ地等補正
  10. 特別警戒区域補正
  11. 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価

ただし、次の算式により計算した金額によって評価をすることもできます。

\[ \bf{ A \times ( 1 – \frac{B}{C} ) } \]
余剰容積率を移転している宅地について、路線価方式による評価又は倍率方式による評価により評価した価額
区分地上権の設定等に当たり収受した対価の額
区分地上権の設定等の直前における余剰容積率を移転している宅地の通常の取引価額に相当する金額

3.余剰容積率を移転を受けている宅地の価額

(1) 余剰容積率を移転を受けている宅地

余剰容積率の移転を受けている宅地とは、余剰容積率を有する宅地に区分地上権、地役権、賃借権の設定を行う等の方法により建築物の建築に関する制限をすることによって、容積率の制限を超える延べ面積の建築物を建築している宅地をいいます。

(2) 余剰容積率を移転を受けている宅地の評価

余剰容積率の移転を受けている宅地の価額は、原則として、路線価方式による評価又は倍率方式による評価により評価したその宅地の価額を基に、容積率の制限を超える延べ面積の建築物を建築するために設定している権利の内容、建築物の建築状況等を勘案して評価します。

  • 次の画地調整を考慮したものになります。
  1. 奥行価格補正
  2. 側方路線影響加算
  3. 二方路線影響加算
  4. 三方又は四方路線影響加算
  5. 不整形地補正
  6. 規模格差補正(地積規模の大きな宅地の評価)
  7. 無道路地補正
  8. 間口狭小補正
  9. がけ地等補正
  10. 特別警戒区域補正
  11. 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価

ただし、次の算式により計算した金額によって評価をすることもできます。

\[ \bf{ D \times ( 1 + \frac{E}{F} ) } \]
余剰容積率を移転を受けている宅地について、路線価方式による評価又は倍率方式による評価により評価した価額
区分地上権の設定等に当たり支払った対価の額
区分地上権の設定等の直前における余剰容積率の移転を受けている宅地の通常の取引価額に相当する金額

なお、余剰容積率を有する宅地に設定された区分地上権等は、独立した財産として評価しないこととし、余剰容積率の移転を受けている宅地の価額に含めて評価するものとします。