宅地造成工事は、大きく①整地工事、②土留め工事、③地盤改良工事に分けることができます。
この記事では、それぞれの工事内容や経験則によるそれらの工事費用の相場観について説明をします。
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目次
1.整地工事
整地工事とは、地面を平坦な状態にするために行う工事をいいます。宅地を宅地として再利用するのか、宅地以外の土地を宅地として利用するかによって、工事内容が異なり、工事費用も異なります。
(1) 宅地を宅地として再利用する場合
宅地を宅地として再利用するために行う整地工事の場合、ユンボやショベルカーなどの重機により地表面をなだらかにするとともに、その重さを利用して軽圧することで行います。低木や雑草、瓶や石などの残留物があれば同時に撤去作業も行われます。
必要に応じて従前建物に係る階段や柵、フェンス、樹木などの撤去作業も行います。
(2) 宅地以外の土地を宅地として利用する場合
宅地以外の土地を宅地として利用するために行う整地工事の場合、上記の整地工事に加え、さらに切土工事や盛土工事などが必要になります。宅地分譲開発を行うのであれば、開発道路に当たる部分については舗装工事も必要となったり、上下水道管やガス管の引き込みも必要となってきます。
(3) 整地工事費の目安
工事内容 | 相場(単価) | 備考 |
---|---|---|
単なる地ならし工事 | 300円/㎡~800円/㎡ | 重機や人力のみで簡単に地ならしするために必要となる費用です。 |
切土工事 | 300円/㎥~4,000円/㎥ | 掘削土地の固さ、土地の形状、規模、傾斜の程度、不要土の処分コストに応じて異なります。 |
盛土工事 | 2,000円/㎥~10,000円/㎥ | 土の種類、規模、採石場までの距離等により異なります。 |
傾斜地での特殊作業工事 | 10,000円/㎡~40,000円/㎡ | 斜度や周辺土地の状況に応じて大きく異なります。 |
舗装工事 | 1,500円/㎡~15,000円/㎡ | 砂利が一番安く、真砂土(まさど)、アスファルト、コンクリートの順に高くなります。 |
伐採費用 | 3,000円/本~30,000円/本 | 木の高さが高くなるほど難易度が上がるため高額となります。 木の処分費用は通常別途支払いとなります。 |
伐根費用 | 5,000円/本~50,000円/本 | 幹が太くなるほど作業量が増えたり、重機が大きくなるため高額となります。 根の処分費用は通常別途支払いとなります。 |
2.土留め工事とその相場観
土留め工事とは、土砂の周りに擁壁を作り、土砂が崩れないようにする工事をいいます。
土留めをする高さが高くなればなるほど、擁壁の厚さが広がり、コンクリートの量も増え、運搬に必要な車両や重機も大きくなるため、費用は高額になります。
傾斜角が強かったり、道路面と現在の地表面との高低差が激しかったり、重機が入りづらい場所にあるよう土地については費用がかなり高額となります。
種類 | 効果 | 相場(㎡単価) |
---|---|---|
ブロック塀 (レンガ) | ・土の流出を防ぐための擁壁として使用します。 ・擁壁の高さが低い場合に使用できる塀です。 | 1万円~2万円 |
ブロック塀 (コンクリート) | ・土の流出、崩壊を防ぐための擁壁として使用します。 ・擁壁の高さが高くても使えます。 ・鉄筋を入れるかどうかにより費用が大きく異なります。 ・鉄筋を入れず、傾斜角や階段状に設置するタイプの場合は宅地利用率が低くなります。 | 2万円~15万円 |
L型擁壁 | ・土層の崩壊を防ぐための土留めとして使用します。 ・擁壁が高くなると費用が高額になる傾向にあります。 ・宅地として利用できる範囲が広くなります。 | 2万円~15万円 |
3.地盤改良工事
地盤改良工事とは、表層にある軟弱地盤の一部分を改良するために行われる工事をいいます。
軟弱地盤の上に建物を建築すると、地震があった場合は、建物が傾いたり、地盤沈下したりと、建物が深刻なダメージを受けるため、地震の多い近年では戸建て住宅においても積極的に工事が行われています。
地盤改良工事については、堅固な地盤(支持層)が表層からどの程度の深さにあるかにより対策を行う工法が異なり、対策工事に係る費用が大きく異なります。
例えば、豊洲や新浦安などの埋め立て地では、支持層が表層から40m~50mの深さにあるため、地盤改良費は驚くほど高くなります。
工法 | 支持層の深さ | 内容 | 相場(㎡単価) |
---|---|---|---|
表層改良工法 | 2m程度まで | セメント加工剤を流し込んで表層地盤を改良し、その改良地盤上に基礎を設置する方法 | 1.5万円~2.5万円 |
柱状改良工法 | 10m程度まで | 支持層まで円柱の穴を掘ってセメントを流し込み、セメントの柱と基礎をつなぐ方法 | 1万円~5万円 |
小口径鋼管杭工法 | 上記で対応できない場合 | 支持層まで鋼管を打ち込み、その鋼管と基礎をつなぐ方法 | 1万円~10万円 |
4.相続税の土地評価における宅地造成費
相続税の土地評価においては、国税局の管轄ごとに宅地造成費が定めれられています。
国税局 | 整地費 | 伐採・抜根費 | 地盤改良費 | 土盛費 | 土止費 |
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札幌 | 600円/㎡ | 1,000円/㎡ | 2,100円/㎡ | 6,600円/㎥ | 72,900円/㎡ |
仙台 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,900円/㎡ | 7,500円/㎥ | 69,500円/㎡ |
関東信越 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,800円/㎡ | 7,100円/㎥ | 69,700円/㎡ |
東京 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,800円/㎡ | 6,900円/㎥ | 70,300円/㎡ |
金沢 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,900円/㎡ | 6,900円/㎥ | 69,300円/㎡ |
名古屋 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,800円/㎡ | 7,000円/㎥ | 71,500円/㎡ |
大阪 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,800円/㎡ | 6,600円/㎥ | 67,600円/㎡ |
広島 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,800円/㎡ | 6,600円/㎥ | 66,400円/㎡ |
高松 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,900円/㎡ | 6,600円/㎥ | 71,800円/㎡ |
福岡 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,800円/㎡ | 6,700円/㎥ | 56,100円/㎡ |
熊本 | 600円/㎡ | 1,000円/㎡ | 1,800円/㎡ | 6,700円/㎥ | 52,300円/㎡ |
沖縄 | 700円/㎡ | 1,000円/㎡ | 2,400円/㎡ | 7,200円/㎥ | 57,900円/㎡ |
相続税申告に当たっては、原則として、上記の表に記載された宅地造成費用単価を用いて計算をすることになりますが、宅地造成費用は地質や地盤、地形、地歴により要する費用が全く異なります。
土地が埋め立て地、河川近くの土地、扇状地、三角州など場合には、実際の宅地造成費は上記により計算した金額よりもずっと高額となることがあります。そのような場合には、不動産鑑定評価による申告が検討されます。
相続タックス総合事務所の代表は、大手資産税税理士事務所と大手不動産鑑定会社の両方で、計15年の経験を積んだ、この業界でも珍しい税務と鑑定評価の両方の実務経験がある税理士・不動産鑑定士です。
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