相続タックス総合事務所は、不動産オーナー様に特化した税理士・不動産鑑定士・行政書士事務所・不動産販売の総合事務所です。
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目次
1.権利が競合する場合の宅地の種類
宅地の上に借地権、定期借地権等、地上権、区分地上権、区分地上権に準ずる地役権が重複して存する場合には、重複する権利の内容に応じてその宅地の評価方法が異なります。
2.借地権等と区分地上権が競合する場合の宅地の価額
(1) 評価方法
借地権、定期借地権等又は地上権(借地権等)が設定された宅地の上に区分地上権が設定されている場合のその宅地の価額は次の計算式により評価します。
自用地としての価額 - ( 権利が競合する場合の借地権等の価額 + 区分地上権の価額 )
- 自用地としての価額
- 権利が競合する場合の借地権等の価額:区分地上権と借地権が競合する場合の借地権等の価額
- 区分地上権の価額
(2) 計算例
- 自用地価額
10,000万円 - 区分地上権と借地権が競合する場合の借地権の価額
イ)借地権の価額
①(10,000万円) × 借地権割合(60%) = 6,000万円
ロ)区分地上権と借地権が競合する場合の借地権の価額
イ(6,000万円) × (1 - 区分地上権割合(30%) × 設定割合(600㎡÷1,800㎡)) = 5,400万円 - 区分地上権の価額
イ)区分地上権の割合
30%
ロ)区分地上権の価額
①(10,000万円) × イ(30%) × 設定割合(600㎡÷1,800㎡) = 1,000万円 - 区分地上権と借地権が設定されている場合の宅地の価額
①(10,000万円) - ②(5,400万円) - ③(1,000万円) = 3,600千円
3.借地権等と区分地上権に準ずる地役権が競合する場合の宅地の価額
(1) 評価方法
借地権、定期借地権等又は地上権(借地権等)が設定された宅地の上に区分地上権に準ずる地役権が設定されている場合のその宅地の評価額は次の計算式により評価します。
自用地としての価額 - ( 権利が競合する場合の借地権等の価額 + 区分地上権に準ずる地役権の価額 )
- 自用地としての価額
- 権利が競合する場合の借地権等の価額:区分地上権に準ずる地役権と借地権が競合する場合の借地権等の価額
- 区分地上権に準ずる地役権の価額
(2) 計算例
- 自用地価額
10,000万円 - 区分地上権に準ずる地役権と借地権が競合する場合の借地権の価額
イ)借地権の価額
①(10,000万円) × 借地権割合(40%) = 4,000万円
ロ)区分地上権と借地権が競合する場合の借地権の価額
イ(4,000万円) × (1 - ③イ(30%) × 設定割合(400㎡÷2,000㎡)) = 3,760万円 - 区分地上権に準ずる地役権の価額
イ)区分地上権に準ずる地役権の割合
30% ∵用途・構造の制限(簡便法)
ロ)区分地上権に準ずる地役権の価額
①(10,000万円) × イ(30%) × 設定割合(400㎡÷2,000㎡) = 600万円 - 区分地上権と借地権が設定されている場合の宅地の価額
①(10,000万円) - ②(3,760万円) - ③(600万円) = 5,640千円
4.区分地上権と区分地上権に準ずる地役権が競合する場合の宅地の価額
(1) 評価方法
区分地上権が設定された宅地の上に区分地上権に準ずる地役権が設定されている場合のその宅地の評価額は次の計算式により評価します。
自用地としての価額 – ( 区分地上権の価額 + 区分地上権に準ずる地役権の価額 )
(2) 計算例
- 自用地価額
18,000万円 - 区分地上権の価額
イ)区分地上権割合
30%
ロ)区分地上権の価額
①(18,000万円) × イ(30%) × 設定割合(300㎡÷1,200㎡) = 1,350万円 - 区分地上権に準ずる地役権の価額
イ)区分地上権に準ずる地役権の割合
30%
ロ)区分地上権に準ずる地役権の価額
①(18,000万円) × イ(30%) × 設定割合(300㎡÷1,200㎡) = 1,350万円 - 区分地上権と区分地上権に準ずる地役権が設定されている場合の宅地の価額
①(18,000万円) - ②(1,350万円) - ③(1,350万円) = 15,300千円
5.貸家建付借地権等が存する場合の宅地の価額
(1) 評価方法
貸家建付借地権等が存する場合の宅地の価額は、原則として、借地権等が存する場合の貸宅地の価額と同じです。具体的には、次のいずれかの価額となります。
- 借地権の目的となっている宅地の価額
- 定期借地権等の目的となっている宅地の価額
(2) 貸家建付借地権等が存する宅地を貸宅地と同様に評価する理由
借地上に建物を建て、これを賃貸の用に供した場合のその借家人の有する土地利用権は、借地権を権原とするものであり、借地権の及ぶ範囲内でのみその土地の利用が認めらる限定的な権利です。
また、借地期間の満了に伴い借地契約が終了する場合、借地借家法第35条第1項の適用による保護はあるものの、借地権の消滅に伴い借家人の土地利用権も当然に消滅します。
したがって、土地所有者からすると借家人の土地利用権が存しているとしても、借地権以上の土地利用の阻害を考慮する必要がないことから、借地上の建物が借地権者による自用であるか貸家であるか否かに関わらず、借地権の目的となっている宅地又は定期借地権等の目的となっている宅地として評価をします。
(借地上の建物の賃借人の保護)
借地借家法|e-Gov
第35条 借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2 前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。
相続タックス総合事務所の代表は、大手資産税税理士事務所と大手不動産鑑定会社の両方で、計15年の経験を積んだ、この業界でも珍しい税務と鑑定評価の両方の実務経験がある税理士・不動産鑑定士です。
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